Copilotエージェントの作り方と活用事例|自社専用AIを構築する5ステップ
タジケン
テクラル合同会社

社内の問い合わせ対応や過去資料の検索に膨大な時間を奪われると、本来のコア業務に集中できず生産性が低下します。自社独自のナレッジを学習させたCopilotエージェントを構築すれば、月数十時間かかっていた情報検索や資料作成の工数を大幅に削減できます。
本記事では、自社に特化したCopilotエージェントの作り方を5つのステップで解説します。業務課題の特定からデータ連携、運用ルールの策定まで、現場で確実に定着させるための手順を網羅しました。さらに、営業や人事など具体的な活用事例も紹介していますので、AI導入で業務効率化を目指す担当者の方はぜひ参考にしてください。
ステップ1:業務課題の特定とCopilotエージェントの適用スコープ定義
自社の業務に特化したCopilotエージェントを構築する際、最初に直面する重要なテーマが業務課題の特定と適用スコープの定義です。社内のあらゆる課題を一度に解決しようとするのではなく、特定の部署や業務プロセスに焦点を絞ることが成功の鍵となります。

たとえば、「営業部門の過去の提案書検索」や「カスタマーサポートの初期回答作成」など、具体的なユースケースを定義して基本事項を整理します。対象業務を選定する際の判断ポイントは、その業務が「データに基づいているか」と「再現性があるか」の2点です。社内規定やマニュアルといった明確な情報源が存在し、一定のルールに従って処理される業務は、Copilotエージェントによる自動化と非常に相性の良い領域です。
実際に現場で運用する際の注意点として、AIが出力する情報の正確性の担保が挙げられます。ハルシネーション(もっともらしい嘘)を防ぐためのプロンプト設計や、最終的な確認は人間が行うという運用ルールの徹底が不可欠です。最初から大規模なシステムを構築するのではなく、最小限の機能で効果を検証するアプローチが効果的です。この段階的な進め方については、MVP開発とは?新規事業の失敗リスクを下げるアジャイルな進め方と検証ポイント も参考にしてください。
ステップ2:Copilotエージェントの作り方とデータ連携の要件定義
効果的なCopilotエージェントの作り方の基本は、社内に蓄積された独自のナレッジを安全かつ正確にAIへ連携させることです。一般的な大規模言語モデル(LLM)は世の中の汎用的な知識を持っていますが、自社の社内規程や過去の提案書といった固有の機密情報は学習していません。

具体的なプロセスにおいては、Microsoft Copilot Studioなどを活用して、SharePointやOneDriveなどの社内ストレージとエージェントを連携させ、グラウンディング(情報源への根拠付け)を行う仕組みを構築します。これにより、Copilotエージェントは社内の公式データに基づいた、実務でそのまま使える精度の高い回答を生成できるようになります。
現場の業務にエージェントを組み込む際、検索や要約の工数が大きい業務から着手することが推奨されます。過去の類似案件の検索や、長大な技術マニュアルの読み込みが必要な業務は、AIによる時間短縮効果が最も出やすい領域です。新しい仕組みを社内に浸透させるためのアプローチについては、新規事業の立ち上げで失敗しない7つのプロセス|実践フレームワークと成功手法 も併せて参考にしてください。
ステップ3:社内データソースの選定とアクセス権限の管理
Copilotエージェントに連携させるデータの質は、そのままアウトプットの精度に直結します。解決したい課題に合わせて必要な情報を整理することが最初のステップであり、不要なデータや古い情報が混在していると、AIが事実と異なる回答を生成する原因となります。まずは、社内に散在するドキュメントの最新化と棚卸しを行うことが不可欠です。

どのデータをエージェントに連携させるかを決める際は、情報の「鮮度」と「更新頻度」が具体的な判断ポイントになります。日々の営業成績や在庫状況など、頻繁に更新される情報を取り扱う場合は、SharePointやデータベースと動的に連携する仕組みが必要です。一方で、就業規則のような更新頻度の低いドキュメントであれば、静的なファイルとして直接アップロードする方式でも十分に対応できます。
実際に現場で運用を開始する際、最も注意すべきは情報漏洩を防ぐためのアクセス権限の制御です。Microsoftの環境下では、基本的にユーザーの既存のアクセス権限が継承されますが、設定の抜け漏れがないか確認が必要です。エージェントを全社に公開する前に、必ずテスト環境を用意し、権限を持たないユーザーのプロンプトに対して機密情報が遮断されるかを厳密に検証してください。
ステップ4:スモールスタートでのテスト運用と現場への定着
どれほど高性能なAIを用意しても、業務の現場で適切に利用されなければ投資対効果は得られません。Copilotエージェントを業務に組み込む際、まずは「どの業務プロセスをAIに委ね、最終的な意思決定を誰が行うか」を明確にする必要があります。AIはあくまで人間の業務を支援する存在であり、責任の所在を曖昧にしないことが基本事項です。

現場で運用を開始する際は、最初から全部署で一斉に導入するのではなく、特定の定型業務に絞ってテスト運用を行うことが重要です。特定の部署でモデルケースを作り、操作に慣れてもらうための勉強会やマニュアル整備を実施します。
非エンジニアの従業員がAIを効果的に活用できるよう、業務に合わせたプロンプトのテンプレートを標準化することも効果的です。また、回答が不正確だった場合に担当者が簡単に報告できるフローを用意することで、現場の不満を解消しやすくなります。
ステップ5:導入効果を最大化する継続的な改善サイクル
Copilotエージェントの導入効果を最大化するためには、システムを作って終わりにするのではなく、現場の利用状況に合わせた微調整が不可欠です。エージェントが期待通りに機能しているかを見極めるため、「回答の正確性」と「業務の削減時間」を明確な指標として設定します。

現場から集まったフィードバックをもとに、参照する社内データの追加や、AIへの指示内容のアップデートを繰り返します。たとえば、「導入後3ヶ月で社内問い合わせ対応の時間が50%削減された」といった具体的な数値目標を追いかけ、運用を通じてCopilotエージェントを「育てる」という視点を持つことが、自社に貢献するシステムを確立するための鍵となります。
また、情報セキュリティとデータガバナンスの維持も重要です。アクセス権限の定期的な見直しと監査を実施し、安全な運用体制を維持してください。
業務を劇的に効率化するCopilotエージェントの活用事例3選
ここでは、実際にCopilotエージェントを導入して業務効率化を実現した具体的な活用事例を3つ紹介します。自社で導入する際の参考にしてください。
1. 営業部門:過去の提案書やナレッジの迅速な検索
ある製造業の企業では、営業担当者が顧客に提案書を作成する際、過去の類似案件や技術資料を探すのに膨大な時間を費やしていました。そこで、SharePoint内の全提案書と技術マニュアルを連携させたCopilotエージェントを構築しました。
結果として、「〇〇業界向けの△△システムの導入事例をまとめて」とプロンプトを入力するだけで、数秒で必要な情報と過去の提案書が抽出されるようになりました。これにより、月40時間かかっていた資料作成業務が5時間に短縮(87.5%削減)され、営業担当者は顧客とのコミュニケーションに多くの時間を割けるようになりました。
2. カスタマーサポート:FAQ参照と初期回答の自動作成
カスタマーサポート部門では、顧客からの問い合わせに対してマニュアルや過去の対応履歴を毎回検索し、手作業で回答文を作成していました。
この課題を解決するため、製品マニュアルとFAQデータベースを学習させたCopilotエージェントを導入しました。顧客からのメール内容をエージェントに読み込ませると、関連するFAQを自動で参照し、適切な回答のドラフトを即座に作成します。オペレーターは内容を確認して微調整するだけで済むため、1件あたりの対応時間が半分以下に短縮され、顧客満足度の向上にも貢献しています。
3. 人事・総務部門:社内規定に関する問い合わせの自動対応
従業員からの「有給休暇の申請フローは?」「経費精算の締め日は?」といった定型的な問い合わせは、人事・総務担当者の時間を大きく奪います。
社内規定やハンドブックのデータを連携させたCopilotエージェントをTeams上に展開し、従業員がチャット形式で質問できるようにしました。エージェントは社内規定の該当箇所を引用しながら正確に回答するため、担当者への直接の問い合わせ件数が約60%減少し、担当者は採用活動などのコア業務に集中できるようになりました。
まとめ
本記事では、自社の業務に特化したCopilotエージェントを構築し、最大限に活用するための5つのステップと具体的な活用事例を解説しました。プロジェクトの成功は、単なる技術導入に留まらず、業務課題の明確化から継続的な改善までを包括的に実行することで実現します。
まずは解決すべき具体的な課題を特定し、適用範囲を絞り込むことから始めてください。高品質なデータを選定し、厳格なセキュリティを確保した上で、従業員が安心して利用できる環境を整備することが重要です。
これらのポイントを実践することで、単なる汎用AIではなく、真に業務に貢献する強力なCopilotエージェントを確立できます。持続的な業務効率化と生産性向上を実現するため、本記事で紹介した手順と事例をぜひ自社のプロジェクトにお役立てください。
この記事を書いた人

タジケン
テクラル合同会社
一部上場企業を経て広告代理店に入社し、デジタルマーケティングの知見を深める。現在はテクラルにて、数千万規模の大型案件でプロジェクトリードを担当。KPI設計や広告運用などのマーケティング領域から、AIを活用したシステム開発の導入支援までプロダクトの成長を一気通貫でサポートしている。本ブログでは、事業フェーズに合わせた実践的なノウハウをお届けする。


